松戸の住宅街にレモン畑？

昨年大いに話題になった松戸の新名産品があります。その名も「新松戸レモン」。まさに松戸の街の中で育てられた純松戸産レモンで、複数のメディアに取り上げられたことで急激に知名度がアップしました。実はこれ、新京成電鉄さんが昨年3月に限定１００個で販売した「マイヤーレモンジャム」に使われたレモンでもあるんです。

取材に伺ったのは新松戸にあるレモン農家「鵜殿シトラスファーム」。そばに「MONPE(モンペ)」という柑橘類直売所が併設されています。でもそちらに行く前にまずはレモン畑を見せてもらうことにしました。

JR新松戸駅前でご主人の鵜殿敏弘さんの車に乗せていただき、住宅街を走ること5分。なんと「こんなところに！」と思うような住宅街の畑にレモンの木がぎっしりと植えられ、黄色い実が鈴なりに・・！

え、だってここ新松戸ですよ？？けっこうな市街地ですから！それにレモンといえばシチリアやカリフォルニアなど暖かいところで育つイメージ。

どうして松戸でレモン？

鵜殿さんによると、きっかけとなったのは30年ほど前に植えた3本のレモンの苗木でした。住宅街の中の畑で意外にも育つことが分かり、2013年から本格的にレモン栽培を始めたといいます。

「地球温暖化でレモンに適した気候になってきたのかもしれませんね。それに住宅街に囲まれていると風除けになりますし、冬は各家庭で使う暖房の影響もあって、郊外よりも暖かい環境なのだと思います」と鵜殿さん。

栽培のメイン品種は「マイヤーレモン(オレンジとレモンの掛け合わせ)」。他にライムやブラッドオレンジなども育てており、畑は新松戸近辺に全部で5ヵ所あります。取材で伺ったときは、今季のレモンの収穫はもう終わり間近のタイミングでした。

レモンの実は木の内側にも外側にもびっしりとなっています。「レモンは寒さにとても弱いので、まずは傷みやすい木の外側の実から収穫していきます。長バサミや脚立を使っての完全手作業なので、収穫できる量も限られます。収穫したレモンは家族できれいに拭いて、計量して袋に詰めた後、直売所で販売するんですよ。」

なるほど。収穫したレモンを店頭に並べるまではとっても手間がかかるんですね。

バス通り沿いの直売所「MONPE」

「鵜殿シトラスファーム」と直売所「MONPE」は新松戸駅から15分ほど歩いたバス通り沿いにあります。向かい側には大きなマンション。その目の前で松戸産の新鮮なレモンが売られているというのはちょっと不思議な光景ですね。実は取材のこの日が、ちょうど今季の営業最終日でした。「鵜殿シトラスファーム」ではレモンの収穫は10月から12月までがシーズン。直売所で買えるのはそのわずかな期間だけなのです。

「MONPE」の店頭の椅子には、ずらりとレモンが並べられていました。マイヤーレモンの他、ライムとキンカンの掛け合わせである「ジェードライム」も販売されています。どの柑橘類もワックスや防カビ剤は不使用。そして農薬もできる限り使わない低農薬で作られたこだわりのレモン。商品によっては農薬不使用のものもあるそうです。

鵜殿さんの奥さまのご厚意でレモンティーをいただきました。砂糖をたっぷりと入れた紅茶に、厚めに切られたマイヤーレモンを入れます。角がないマイルドな酸味で、刺すような酸っぱさは感じられません。何だかほっとする味です。

「これもちょっと試してみてください」と出してくださったのが、甘酒×レモン。この時期にぴったりの甘酒に多めのレモン果汁を入れてみます。するとまるで違った味わいの飲み物に！この組み合わせ、アリですね。発酵食品×ビタミンで体にもよさそう！

お店の裏に畑があったのでちょっとのぞかせていただきました。周りはぐるりと住宅やビルに囲まれています。そんな中でポッカリとのどかな雰囲気が漂う柑橘畑。

ここに植えられているのは主に小さな苗木ですが、実がついている木もあり、ビタミンカラーが青い空に映えていました。

もいだばかりのライムを一口齧らせてもらうと、あの独特の香りが鼻をくすぐり、みずみずしい酸っぱさが口の中に広がります。「ライムは香りがすぐとんでしまいますからね。もぎたてを楽しむのが一番です。」

収穫シーズン中は「MONPE」での販売の他、松戸近隣のレストランやケーキ店、居酒屋などにもレモンを出荷しています。「松戸産レモン」の名前を掲げたメニューや商品を見かけたことがある人もいるかもしれません。

筆者は「新松戸産マイヤーレモン（¥500）」を買って帰り、ちょっと贅沢に松戸産レモンをたっぷり入れたレモンハイにしていただきました。

さて新京成電鉄さんとタイアップした「マイヤーレモンジャム」は、今年もお目見えするのでしょうか？昨年大好評だったというこの商品、ぜひ一度試してみたいものです。